マチフル -machifull-

新潟や日本や東南アジアの街ネタブログ。見たり聞いたり読んだり買ったりの感想メモも。目指すは陸マイラー。

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【新潟大学名誉教授・伊藤忠雄さん】「10年後に日本人は何を食べているか」

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新潟大学名誉教授の伊藤忠雄さんの講演から。
伊藤さんはもともと土地改良史が専門で、先日『ブラタモリ』でもやっていた亀田郷の話なども面白かったんだけど、これからの日本の農業と食が危機にあるという話がショッキングでした。

◇ ◇ ◇

「飽食大国」日本で、食べることに関心を持てない人が最近増えていると言われています。
たしかにコンビニへ行けばいつでも好きなものが食べられる日本では、食への執着は薄まっていると感じます。
海外のコンビニもないような街に行くと、食べられる時にちゃんと食べなきゃ、と改めて思ったり。

「食料は第2の武器」といいます。
英独は2度の大戦の反省から、食料が自給できる国になりました。
日本はどうでしょう。
2015年度の食料自給率(カロリーベース)は39%。
年間1億トンの食料消費のうち半分を輸入に頼っているのだそうです。
兵糧攻めされたらアウトです。

「戦争なんて起こらないし、輸入できればいいんじゃない?」…たしかに輸入できるうちはまだいいでしょう。
でも最近では、例えば大豆は日本より中国が高く買ってくれるといいます。
小麦やトウモロコシといった穀物の価格も投資の対象になり、上昇傾向にあります。
米国ではトウモロコシを作るための地下水が今後枯渇するのではないか、という怖い話も あります。

日本は米食文化の国というのは、過去の話なのかもしれません。
2011年には、日本の一般家庭におけるパンの消費額がコメを上回ったことが話題になりました。
国民1人当たりの年間コメ消費量は50年で半分になり、特に20代は2日にご飯茶碗1杯分しか食べない計算といいます。

農業就業人口は全国で200万人を切りました。
ここ数年は毎年20万人近く減っているのだそうです。10年後には農業をやる人がいなくなっているかもしれません。
コメの買取価格は下がり続け、60キロで7千円台。
作れば作るほど赤字で「田んぼは不良債権」 とまで言う稲作農家もあるといいます。

◇ ◇ ◇

結局もっとコメを食べればいいんじゃない? ということになりますが、進む洋食化傾向に歯止めをかけるのは簡単ではないでしょう。
外食中食化も進んでいて、業務用に使われる北海道産のコメより、家庭用で使われることの多い新潟米の方が在庫がだぶつきがちという話もあります。
新潟がいつまでコメ王国でいられるかというくらい、深刻な話かもしれません。

全国200万人の農業従事者のうち、3分の2が65歳以上といいます。
例えば子どもの進学や住宅ローンを終えて50歳くらいを迎えたサラリーマンが、えいやっと脱サラして農業を始めてもそこそこの収入が見込めるというなら、まだ未来は明るいのかもしれませんが…理想論でしょうか。