マチフル -machifull-

新潟や日本や東南アジアの街ネタブログ。見たり聞いたり読んだり買ったりの感想メモも。目指すは陸マイラー。

広告

【新聞記者】「民主主義は形だけでいい」…フィクションと信じたい社会派映画

広告

『万引き家族』は地上波で放送したけど、これは放送されないだろうなぁ…。

映画『新聞記者』は、大学新設にまつわるモリカケ問題や伊藤詩織さんの性犯罪被害など、近年話題になったニュースをなぞっているのでは、と話題の作品です。
参院選投票日当日ということもあってか?朝一番の上映にもかかわらず映画館には多くの人が観に来ていました。
映画自体はあくまでフィクションなんですけどね。

 

新聞記者 (角川新書)

新聞記者 (角川新書)

 

 

参院選を控えた時期で映画の公開が危ぶまれたとか、主人公の新聞記者に日本人女優をキャスティングできず韓国人が演じることになったとか、いろいろ噂されています。
僕は、組織の理論と個人の思いの狭間で揺れ動く人間たちを描いた社会派エンタメとして楽しんで観ましたよ。

◇ ◇ ◇(以下ネタバレあり)

あくまでフィクションと書きましたが、内閣情報調査室(内調)の描かれ方は、どこまでフィクションなのか怖くなりました。
薄暗い部屋にパソコンの液晶がずらり並び、スーツを来た官僚たちが黙々と作業している様子は不気味です。
性犯罪被害を訴えたジャーナリストと野党議員のつながりを暴いたり、政権に反対するデモ行進に参加した一般人の個人情報を洗い出したり、さらにはツイッターに複数のアカウントから書き込んで世論を操作したり…。

松坂桃李が演じる内調の若きエリート官僚・杉原は、かつて世話になった元上司の自殺に内調が関わっていたと知り、東都新聞の新聞記者・吉岡とともに組織の闇を暴こうと動きます。
でも新聞にこの事実が載った日、上司に「この国の民主主義は形だけでいいんだ」と脅されてしまいます。
あくまでフィクションですよ、いや、フィクションと言ってほしい。それくらいインパクトのある台詞。
この上司役、『アウトレイジ』に出ていた俳優さんだそうです。怖すぎでしょう。

◇ ◇ ◇

上司に脅されメンタルをやられてふらふらと歩道を歩く杉原と、報道の裏付けとして杉原の実名を載せる決断をした吉岡が、霞が関の道路を挟んで向き合います。

やつれた顔で何かを言いかける杉原。
見つめ続ける吉岡。
二人の表情の演技がすごいです。
でもここで映画は終わってしまいます。
冷たい刃を当てられたような感覚のこの映画。
刃を突きつけられたまま終わってしまいました。
あなたならどうする?と。

国家や権力の闇に切り込むような映画はアメリカには時々あるけど、日本にももうちょっとあってもいいと思いました。
『バイス』や『タクシー運転手』みたいに少し笑えるのがあってもいいかな。笑わせ、現実を突きつけ、最後に感動を呼ぶ、みたいな方が、社会に訴えるチカラは強いと思うので。