マチフル -machifull-

新潟や日本や東南アジアの街ネタブログ。見たり聞いたり読んだり買ったりの感想メモも。目指すは陸マイラー。

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【「大地の芸術祭」仕掛け人・渡辺斉さん】「最初は反対ばかりだった」

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 元新潟県庁職員で「大地の芸術祭」 仕掛人の一人である渡辺斉さんの講演から。

大地の芸術祭は、新潟県妻有地区(十日町市周辺) で3年に一度行われる芸術祭。 開催6回目となった前回2015年は約2カ月で51万人の来場があったそうで、 今ではアートによる地域おこしの代表格と言ってもいいでしょう。

そんな芸術祭も構想立ち上げ当初は反対ばかりだったと渡辺さんは言います。 過疎で限界の訪れている地域にアートで展望をひらくという発想はどこから生まれ、どう地域に浸透していったのか、 講演で気になった言葉をたどります。

◇『時代の潮流を読む』『地域の強みと重ね合わせる』

アートで妻有地区を活性化するという構想が生まれたのは、約20年前。
その時にはすでに、これからは持続可能で循環型を志向する時代に向かっていく、 そしてそのような時代こそ人と自然の織り成す妻有地区の環境に光が当たると考えていたといいます。
まだバブルの残り香があった頃のこと。先見の明ですね。

◇『発信力を高めるには普遍性が必要』

芸術祭が始まる前は、進む過疎と高齢化で妻有地区は限界に近づいていました。
そんな地域を活性化するには、交流をさかんにしたい。そのために何を発信するか。
人と自然の織り成す普遍的な魅力を発信するには、言葉を越えて伝わるアートの力が必要という結論に至ったそうです 。
「自然が豊かで…」といった、 どこにでもある言葉から差別化できたのがよかったと渡辺さん。これは今、各地で行われている地方創生の施策にもつながるところかもしれま せん。

◇『オモテの親分とウラの実力者をつかむ』『 じわじわにじみ出るように支持を広げる』

最初、周りは反対ばかりでした。 そこからどう理解と支持を広げたか。
オモテとウラの実力者に話をすることで、 じわじわと考え方を広めていったのだそうです。
世の中はそんな二層構造でできているんですね。これはどこの地方でも共通したところかもしれません。

◇『数字より住む人来る人がどう感じるかが大事』

紆余曲折を経て開催された初回の芸術祭は16万人が来場しました 。
当時人口8万人弱のエリアにその倍を超える人が来たことになりま す。
でも数字以上に、地域の住民がアートに参加したことで、地元に誇りと希望を持てたことが大きいと渡辺さん。
アーティストや来場客と交流することで「心の過疎」から脱することができたのです。

◇ ◇ ◇

今では3年に一度、 夏に妻有に行くというのが憧れをもって伝わり、 東京などの都会からこの地域に移住してきた人もかなりいます。
芸術祭で妻有の地域はブランドになったのです。