【グリーンブック】差別を描く社会派と笑えてほっこりエンタメの絶妙バランス
実話がもとになっていて、社会派っぽいんだけど、かなり笑えるエンタメ作品。
アカデミー作品賞も納得です。
アカデミー賞受賞を待つかのように日本でも公開された映画『グリーンブック』。
グリーンブックとは1960年代に発行されていた、黒人が利用できるホテルやレストランなどを載せた旅行ガイドのこと。
まだ特にアメリカ深南部(Deep south)では黒人差別が当たり前だった時代の話です。
黒人ピアニストのドン・シャーリーが深南部をツアーするのにドライバー兼ボディーガードとして雇ったのが、ナイトクラブの元用心棒のイタリア系白人トニー・リップ。
そんな2人が8カ月の旅をともにする様子をコミカルに描いた作品です。
- アーティスト: サントラ,ジーン・オースティン,ナサニエル・シルクレット,ジェラルド・ヒューイ・ラムゼイ,ジョニー・メイ・マシューズ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2019/02/27
- メディア: CD
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知的で言うことは正しいけどちょっと面倒くさい黒人ピアニストと、腕っぷしと軽口(リップというのはニックネームで、lip=唇なんだけど「口から出まかせ」みたいな意味らしい)で生きてきた白人ドライバー。
全然違う境遇で生きてきた2人は、旅の最初は会話も成り立たずすれ違ってばかりなのですが、8週間の旅でいろいろなエピソードを重ねるうちに心を通わせていきます。
(ここから少しネタバレ)
このエピソードの数々がいいんです。
一番好きなのはケンタッキーフライドチキンのエピソードですねー。しっかり、後の伏線にもなってたし。
ドン・シャーリーはトニーの言葉遣いや行動にひとつひとつ改善を求め、ドン・シャーリーを天才と認めるトニーは意外に素直に言うことを聞きます。
堅物と軽口に思えた2人のキャラクターが、話が進むごとにどんどん魅力的になっていきます。
2人を近づけるエピソードの数々とともに描かれるのが、当時の黒人差別のすさまじさです。
旅をしていても、後部座席に黒人を乗せ白人が運転をする様子は奇異の目で見られます。
さらには、ホテルに招かれ演奏したドン・シャーリーが一度舞台を降りると、そのホテルのトイレやレストランに入れないという理不尽…。
旅に出る前は人種差別意識を持っていたトニーでしたが、すっかり差別と戦う男になっていました。
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演奏最終日はクリスマスイブの前日。
トニーはニューヨークの自宅へイブの夜には戻ることを約束していました。
しかし雪道を運転するうちにトニーは睡魔に襲われます。
もう運転できない…。これではイブには間に合わない…。
そんな帰り道でドン・シャーリーが取った驚きの行動とは?
これはスクリーンでぜひ観てほしいところです。
最後までほっこりエピソードがいっぱい。
音楽もかつてのFMラジオ番組『サタデーウェイティングバー・アヴァンティー』の世界が好きなら気に入るはず。
人種差別という難しいテーマにもかかわらず、なんだか温かくていい気持ちになれる映画でした。
またひとつ、いいクリスマス映画ができました。