【NHK制作ディレクター・木村和穂さん】150時間撮って放送するのは50分だけ!
『プロフェッショナル仕事の流儀』の舞台裏、とても興味深かったです。
文京区の小石川図書館で行われた「ドキュメンタリーカフェ」で、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』『バリバラ』『ドキュメンタリー72時間』などを手掛ける番組制作ディレクター木村和穂さんのお話を聞きました。
まずは『プロフェッショナル』の木村さんが手掛けた回を鑑賞しました。
『プロフェッショナル』は、仕事に情熱を傾けるプロフェッショナルに密着し、その仕事振りや仕事における信念などをドキュメンタリー映像で紹介する番組です。
断続的ながらも、もう15年も続いているそうです。
普段は職人さんやスポーツ選手などが登場するイメージが強い番組ですが、今回上映されたのは、外国人労働者を支援するNPO代表理事の鳥井一平さんに密着した「外国人労働者に何が」です。
これが実に深刻な内容でした。
技能実習制度が「現代の奴隷」「人身売買」と指摘される問題を抱えているのは時々報じられていますが、ここまでとは…。
そんな異国で悩む外国人に寄り添い、全国を奔走する鳥井さんに密着しながら、現代日本が抱える問題に迫っています。
『問われているのは、私たち』という鳥井さんの言葉が重くのしかかります。
NHKオンデマンドで220円で観られるので、ぜひ観てほしいと思いました。
https://www.nhk-ondemand.jp/share/smp/#/share/smp/goods.html?G2019102245SA000
後半は木村さんの制作秘話。
僕もよく観る番組がどのようにしてできているかという話は、興味深いものがありました。
この番組は取材撮影に1カ月、編集と追加取材でもう1カ月で、だいたい2カ月かけて50分の番組を1本仕上げるのだそうです。
驚いたのが50分の番組を作るのに、撮影する時間。
90分録画できるディスクにだいたい100本分は撮影するのだそうです。
ということは9千分=150時間分も撮影するということ!
それを50分番組にするのだから、使われるのは1%にも満たないんですね。
これだけ膨大な映像をどうやって編集するかというと、まずは文字起こしをするのだそうです。
その分量は厚いファイルで5冊分にもなるといいます。
これだけで本になりそう…。
毎週の番組にすごい手間がかかっているんですね。
編集ではこの番組のフォーマットも加えていきます。
黒い背景に短い白文字が乗る、あれです。
パロディ動画が作れるアプリにもなりましたよね。
あれ、「プロポン」と言うのだそうです。
プロフェッショナルで、ポンと出るからプロポン。
エンディングはもちろんスガシカオのあの曲です。
「あの曲があるおかげで番組として形になる。フォーマットに救われることはある」と木村さんは言います。
◇ ◇ ◇
実はこの外国人労働者を取り上げた回は、視聴率は今ひとつだったそうです。
でもネットなどでの反響は大きかったそうで「できれば多くの人に観てほしい」と木村さん。
こういういい番組は、聴取料を払っている人はオンデマンドで月何本かまでは無料で観られてもいいかもしれないですね、NHKさん。