マチフル -machifull-

新潟や日本や東南アジアの街ネタブログ。見たり聞いたり読んだり買ったりの感想メモも。目指すは陸マイラー。

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【完本 しなやかな日本列島のつくりかた】しなやかな古町をどう作る?

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新潟三越撤退のニュースを、この本を読みながら聞いていました。

『完本 しなやかな日本列島のつくりかた』は、『デフレの正体』『里山資本主義』の著者である藻谷浩介さんが、現場に身を置いて行動する「現智の人」13人との対談から、日本再生の切り札を探る対話集です。
迫り来る超高齢化社会と生産人口減、さらには市場経済の限界などから来る不安や悲観を一蹴する実践の数々がそこにはありました。
古町住民的に気になった言葉をいくつかピックアップしていきます。

完本 しなやかな日本列島のつくりかた: 藻谷浩介対話集 (新潮文庫 も 44-1)

完本 しなやかな日本列島のつくりかた: 藻谷浩介対話集 (新潮文庫 も 44-1)

 

 

■「商店街」は起業家精神を取り戻せるか~社会学者・新雅史

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

 

『商店街の店主は、跡継ぎがいなくても、不動産を固守しようとする。残されるのはシャッターが閉じたままのお店です。こうして商店街は内部から腐っていく』(新)
『全国各地でまちづくりに人生を賭ける人たちと出会っていくうちに「ああ、この人たちは自分の町が、室生寺の五重塔と同じように、自分の人生を超えて残り続けていくと直感しているからこそ、ここまで頑張れるのだな」と気付きました』(藻谷)
『昔出会ったある店主が言っていたのです。「商店街ってのは、弱小な一個人が事業者として、大組織や大手資本に対抗しながら、なんとかやっていける、地域でただ一つの空間なんだ」と』(藻谷)
『起業家精神を持つ若者は今もいます。ですが、それが商売で花開くには、根・葉・茎が必要なのです。
根は住居、葉は職場です。(中略)住居と職場が混在してこそ町と呼べる。加えて茎=公共的な施設も必要です。(中略)根・葉・茎が揃って初めて、住む人と来る人が一緒に歩く場となり、零細店にも売り上げという栄養が行き届く』(藻谷)

→古町は根・葉・茎が揃ってる町。弱小な起業家がやっていけるなら、自分の人生を超えて350年以上続くこの町を維持できるはず。

■「観光地」は脱・B級志向で強くなる~地域経営プランナー・山田桂一郎

観光立国の正体 (新潮新書)

観光立国の正体 (新潮新書)

 

『日本の観光地がダメになった原因の一つは、まさにこの(安いツアー客の)ような「一見さん」を効率よく回すことだけを考え、リピーターを増やす努力を長く怠ってきたことにあると思います。観光地として一番重要なのは、実は顧客満足度とリピート率。満足度を上げ、リピート率を上げれば、お客様一人あたりの消費額も自然と上がります』(山田)
『地域ごとにまずは「ここがうちの最上位」というのを決めていくべき』(山田)
『地元産の良いものを、地元の旅館やホテル、飲食店が直接、一円でも高く買うことが重要で、それをさらに手間暇かけて調理し、より付加価値を高くして売るということを考えるべきです。
しかも、それを都会の百貨店に置いてもらうんじゃなくて、地元にわざわざ来て消費するだけの価値があるものをちゃんと産み育てましょう』(山田)

→古町って、町の最上位と言える価値あるものが今も残る町だよね。

■「空き家」活用で日本中が甦る~都市・建築再生プロデューサー・清水義次

リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

 

『「家守」とは、江戸時代に不在地主に代わって家屋などの管理をしていた「長屋の大家さん」のこと。これを現代に蘇らせて、遊休不動産を活用したまちづくりを進めています』(清水)
『一続きの街並みの中で突然家賃が割安になっているエリアが、現代版家守の狙い目となります』(清水)
『膝を打ったのは、「街を“消費“だけの場ではなく”生産”もする場に変えていく」というお話です』(藻谷)
『自立した人がどれだけいるかが、魅力的な都市の条件であり、サステナブルな都市の条件だと僕は考えています。だから家守でも、空き店舗にナショナルチェーンを入れたりはしない。チェーン店で働く人の割合を増やしても、街が面白くなるとは思えないから。潜在的に自立したいと考えている人に何かやってもらうことが、街の魅力を増やしていくことになる』(清水)

→古町はチェーン店がほとんどなくなったけど、これは自立した街になろうとしている過程なのかも。きっとシモ古町は家守の狙い目になりうると思います。

■「限界集落」と効率化の罠~社会学者・山下祐介

限界集落の真実―過疎の村は消えるか? (ちくま新書)

限界集落の真実―過疎の村は消えるか? (ちくま新書)

 

『集団というのはたぶん、「もうなくなるんだ」と思った瞬間に本当にダメになっていく』(山下)
『だから、それを見ている方は意図的にでも、「そんなことはない」と言わないといけない。「あなたたちの地域には独自の価値があるし、よく見たらちゃんと続くようにできている」というメッセージを発信しなければいけないんです。(中略)可能性があるうちはむしろ声高に叫ばないと、本当は残れるところまで残らなくなってしまう』(山下)
『「(農村部から)あふれた人口は都会に向かい、そこで消費される」。労働の中で消費されてしまって、子孫を残さずに消える。少子化という現象は、人が都市で消費された結果だと』(藻谷)
『山村生活者自身がまず、自分達の生き方にプライドを持つことでしょう。住民に誇りのある地域は魅力的に映るし、また、実はそういう矜持こそが、生活を支えていたりするんです』(藻谷)

→古町には独自の価値がある。声高に叫ばないと!