マチフル -machifull-

新潟や日本や東南アジアの街ネタブログ。見たり聞いたり読んだり買ったりの感想メモも。目指すは陸マイラー。

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【コンビニ外国人】人手不足の救世主?現代の奴隷制度?歪んだ現実に迫る

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初めて中国韓国台湾人以外の外国人コンビニ店員さんを見かけたのは数年前、たしか古町7のNSGスクエア1階のローソンでした。
彼らもベトナムやミャンマーから専門学校に留学してきたのかもしれません。

東京のコンビニでは、もはや外国人店員さんの方が日本人より多いように思います。
『コンビニ外国人』は、そんな外国人店員が増えてきた事情と切ない現実に迫ったルポルタージュです。

 

コンビニ外国人 (新潮新書)

コンビニ外国人 (新潮新書)

 

 

◇ ◇ ◇

まずは「コンビニ外国人」を取り巻く数字をまとめてみます。

・留学生のアルバイトは週28時間(夏休みなどは1日8時間、週40時間)を上限に認められている。日本にいる外国人留学生約27万人のうち約26万人がアルバイトをしている。

・外国人労働者の数は約128万人。この10年で約2.6倍になった。もっとも多いのが「技能実習生」がほとんどを占める製造業で、全体の3割強。「コンビニ外国人」が含まれる卸売業・小売業は13%。

・日本に住む外国人の数は約247万人。中国が3割近く、韓国が2割近くを占める。近年はベトナムとネパールが急増しており、ここ3年でそれぞれほぼ倍増している。

◇ ◇ ◇

日本政府としては「移民」を認めていないという方針は変わっていません。
しかし日本で働く外国人の数は増えており、すでに2014年時点でOECD加盟34ヵ国(当時)のうち日本は世界第5位の「移民流入国」となっています。
移民は認めないが、外国人には積極的に人手不足を補ってほしいというのが日本政府の本音です。

技能実習生の対象にコンビニが加えられようとしているのは、そんな本音の現れのように見えます。
もともと外国人技能実習制度は、日本の優れた技術や制度を新興国に移転し発展に役立ててもらおうというもの。
しかし過酷な労働環境が指摘されて「現代の奴隷制度」とさえ言われています。
コンビニで働くことが技術移転になるの?深刻化する人手不足を外国人で埋めようとしているのでは?「奴隷」が増えるだけでは?と言われても仕方ない気もします。

現状でも、新興国の若者が多額の借金を背負って来日したのに、週28時間のアルバイトではとても借金を返せず、留学生活が破綻する例は多いといいます。
これはもはや留学ビジネスではなく「人買いビジネス」じゃないかと思ってしまいます。
一方、「コンビニ外国人」がいないと経営が成り立たなくなるほど、人手不足に悩む経営者が多いのも事実です。
現実はどこか歪んでいて、これからさらに各業種で人手不足が進む中で何とかしなくてはならない課題と感じました。

◇ ◇ ◇

先日、この本で紹介されていた高田馬場のバインミー屋さんへ行ってきました。
経営するベトナム人のユイさん兄弟は三重県の四日市大学を卒業した元コンビニ外国人です。
在留資格の変更など起業には高いハードルがあったそうですが、「バインミー・シンチャオ」をオープンして1年強で、行列のできる人気店になっています。

https://www.instagram.com/p/BmfV4fTBbxw/

『コンビニ外国人』でも紹介されていた、高田馬場の人気 #バインミー 屋さん。フランスパンにヌックマムとレバーペイスト、なます、パクチーで何故おいしい? これはもはやベトナムの神秘。

起業するにも就職するにもいろいろとハードルが高いのが現実のようです。
先日の新聞では、新潟県と静岡県は留学生数がほぼ同規模にもかかわらず、新潟で一昨年に就職した留学生は62人。一方、静岡は255人と、大きな差があることが記事になっていました。
人口が減少している地方で、留学生が活躍できる仕事が増えていけば、地方はもっと元気になれるのかもしれません。