マチフル -machifull-

新潟や日本や東南アジアの街ネタブログ。見たり聞いたり読んだり買ったりの感想メモも。目指すは陸マイラー。

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【万引き家族】まるでドキュメンタリー…今の時代をリアルにとらえた話題作

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まるでドキュメンタリーのようだと思いました。
もちろんフィクションで、ありえないような設定なんだけど、でもどこかリアルで、時代を反映したニュース性があって。

映画『万引き家族』は、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞したことで、一気に話題になった是枝裕和監督作品です。

公開1カ月で285万人が観る大ヒットとなっているそうです。
決して老若男女に受ける娯楽作ではないし、全体に淡々としてて地味な(だからドキュメンタリーっぽい)作品にもかかわらず、ここまでヒットしているのはカンヌの話題性だけでなく、口コミによるものも大きいと思われます。
僕もTwitterで評判を聞いて観に行きました、はい。

 

 

万引き家族【映画小説化作品】

万引き家族【映画小説化作品】

 

 

◇ ◇ ◇

前半は、おばあちゃんの年金を頼って集まった「家族」が、万引きで生計を支えながら、寄り添って暮らす様子が自然体で描かれます。

子どもの万引きで生計を支える家族なんてないと信じたいですが、母がパート先を雇い止めされたり、親の虐待に遭った女の子がいたり、母の妹は「JK見学店」で働いていたり(こんなお店あるの?と思ったら、実在のお店が撮影協力していてビックリ)と、それぞれのエピソードがリアルです。
現実にはありえない設定なのに、リアルなドキュメンタリーを観たような気分になってしまいます。
家族が肩寄せ合って暮らすおばあちゃんの家も、昭和なリアル感がありました。

ストーリーが進むにつれて、家族の会話などで「おや?」と思う場面が増えてきます。
この「家族」って一体…?
そんな疑問が、ある事件をきっかけにして、家族一人ひとりの供述で明らかになっていきます。
そういうことだったのか、と見事な伏線回収。
疑問が解けてすっきりするような、複雑な家族の事情に直面して気持ちが重くなるような…不思議な感覚に襲われます。

◇ ◇ ◇

ネタバレなしで書くにはこれくらいが限界です。
ここから先は少しネタバレ。

『シン・ゴジラ』『君の名は。』など、最近ヒットする映画の共通点は、人に話したくなるシーンが多いということと思っています。
この映画もきっと一緒。
家族それぞれのキャラクターやエピソードがリアルだから、つい人に話したくなってしまいます。

僕は、息子祥太が駄菓子屋店主の目を盗んで万引きを重ねていたつもりだったのに、実はバレバレで「妹にはやらせるなよ」と言われてしまうシーンが好きでした。駄菓子屋さん、やさしい…。
「店がつぶれなければいい」という母の言葉を祥太は信じていたのですが、やがてその駄菓子屋はつぶれてしまいます。
万引きは悪いことと祥太は気づくのです。

そんな祥太が「父」と再会し、そして別れていくラストシーンはぐっと来るものがありました。
こうして、万引きしか教えられなかった父を越えていくんだなぁと。
フィクションだけど、祥太には幸せになってほしいと祈らずにいられませんでした。虐待に遭っていたじゅりちゃんもね。